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ヤフー掲示板にて、時折出没しております、kuma8_takuan と申します。 今まで書きなぐってきた物などを多少なりとも整理できましたらと思い、 不慣れながらブログというものにTryしていきます。 
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「小角殿は山歩きが修行と申されるが、仏の道とは如何なものじゃな。
」と大海人は尋ねてみた。
「儂には難しいことは解かりません。ただ山の道も仏の道も人の道も似
たようなものじゃろうと思うとります。師の道昭様もそれで良いと申さ
れました。」
「ほう、道昭殿に教えをこおうたのか。」道昭とは、先の遣唐使により
唐に派遣され留学僧である。天竺より数多の経典を持ち帰った玄奘三蔵法師に教学を学んで来たと言う評判の僧であった。百済が唐により滅ばされる少し前に唐より帰国した。その際に母斉明女帝に挨拶にきた折に顔は見たことがあったが話しをしたことがない。一度この男を通じて話をしてみたいものだと大海人は思った。
「山は恐ろしい処でございます。錫杖を鳴らさずに歩こうものなら蛇も
狼も襲ってまいります。雨など降ろうものなら、谷底へすべり落ちるな
ど簡単でございます。人の道も一寸先は闇と聞いております。まして仏
の道も難しいものと存じておりまする。」そう言うと小角は静かに微笑
んだ。
「小角殿はこの吉野育ちの我らより、山については詳しゅうございます
。」角乗が口を挟んだ。日雄角乗、吉野の首である。吉野地域の長であ
る。大海人一行が宮滝の吉野離宮に到着した際に誰に聞くでもなく尋ね
てきた。大海人より二つ三つ年上の四十半ばであろうか。日に焼けた顔
に人の良さそうな大きな黒目が光っている。
「儂等は、吉野の山師でございます。山師にとって鉱脈は命より大切な
ものでございます。ですから仲間内以外は山に寄せ付けません。下手に
鉱脈でも見つけられた日には余所者が入り込んで山が枯れます。余所者
が入り込んで居るのを見つけた日には追っ払うのが常でございますが、
御師様の足の強さといったら、山育ちの儂等でも歯が立ちませぬ。」
「ほう。」大海人はうなずいて、小角を見た。


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沢庵 熊八
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父は会津、母は信濃出身で、どうみても縄文系の熊八です。北海道生まれで、関東育ち。現在は相模の国に住まいしております。
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